あくせいしゅようずいはんせいこうかるしうむけっしょう

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悪性腫瘍随伴性高カルシウム血症

Malignancy-associated Hypercalcemia

悪性腫瘍では経過中にしばしば高Ca血症が合併し,時にはこの高Ca血症が直接死因となることさえある。進行癌では比較的多い合併症である。

血清Ca濃度は副甲状腺ホルモン(PTH),カルシトニン,活性型ビタミンD3(1,25(OH2D3)の3者によって正常域に調節されている。PTHは骨吸収(骨から血中へのCa動員)を促進し,腎においてはCaの再吸収を促進し,血清Ca濃度を上昇させる。さらには腎でのビタミンD3の活性化を促進する。ビタミンD3は肝臓及び腎臓で活性化され,腸管からのCaの吸収及び骨吸収を促進する。一方,カルシトニンは甲状腺のC細胞から分泌され,骨吸収を抑制して血清Ca濃度を低下させる。血清Ca濃度の高低により,PTHとカルシトニンの分泌量が調節されている。

悪性腫瘍に伴う高Ca血症の80%は,腫瘍細胞が過剰に産生・分泌する体液性物質(PTH-related protein; PTHrP)によって起こる(humoral hypercalcemia of malignancy; HHM)。HHMは肺扁平上皮癌,乳癌,泌尿生殖器系腫瘍や成人T細胞白血病での発症頻度が高い。一方,肺癌,乳癌などの骨転移や多発性骨髄腫などでは,骨転移した局所で腫瘍が産生する骨吸収因子によって起こる(local osteolytic hypercalcemia; LOH)。

高Ca血症の臨床症状は,食欲不振,嘔気,口渇,多尿,便秘などである。血清Ca濃度が16mg/dL以上になると,傾眠,昏睡を来たす(高Ca血性クリーゼ)。

【治療】原疾患に対する治療と並行して,高Ca血症に対して,生理食塩水の点滴静注によりCa排泄の増大を図る。これにラシックスなどの利尿薬を併用する。病態に応じて骨吸収抑制薬が用いられる。

【薬剤】骨吸収抑制薬:@カルシトニン製剤−カルシタール1日160単位筋注,エルシトニン(合成カルシトニン誘導体)1日80単位筋注・点滴静注。反復投与により効果が減弱する(エスケープ現象)が,副腎皮質ステロイド併用(プレドニン1日30mg静注)により,ある程度効果を引き延ばすことが出来る。Aビスホスホネート(有機二リン酸塩)製剤−アレディア,テイロック,ビスフォナール。生理食塩水500mLで希釈して2〜4時間かけて点滴静注する。単回投与で著明な血清Ca濃度の低下が得られ,2週間近く効果が持続する。高Ca血症の再発に応じて再投与が必要な場合には,少なくとも1週間の投与間隔を置く。投与後は定期的に腎機能検査を行う。血清Ca値が急速に低下するおそれがあるので,カルシトニン製剤との併用に注意する。

主要疾患・治療と薬剤ハンドブック(薬事新報社刊)より