あきゅうせいこうじょうせんえん

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亜急性甲状腺炎

Subacute thyroiditis

ウイルス感染が原因と考えられている,甲状腺の炎症性疾患である。30〜50歳代の女性に好発し,発熱と圧痛を伴う硬い甲状腺腫を主症状とする。その後,甲状腺機能低下期を経て自然寛解する。甲状腺組織の破壊による甲状腺ホルモンの流出が病変の本質である。

38〜40℃の発熱を伴って,甲状腺の腫大による前頚部の痛みが急激に発症する。痛みは耳介後部,下顎部,後頭部にも放散する。甲状腺は右葉と左葉の一対になっているが,片側の硬い腫れが他の側に移ることが多い。急性期には甲状腺機能亢進症状として全身倦怠感,動悸,息切れ,振戦,体重減少などが起こる。これらの症状は一過性で甲状腺機能が修復されると消失する。

検査上は血沈亢進が著しく,CRPは高値を示す。血中の甲状腺ホルモン(T4,T3),サイログロブリンが増加するが,通常1〜2ヵ月で甲状腺ホルモンは正常となり,その後1〜2ヵ月の甲状腺機能低下期を経て正常に戻る。甲状腺の放射線ヨード摂取率はほとんど0%まで低下しており,その後一過性に上昇し3〜5ヵ月で正常化する。

【治療】自然治癒するので痛みや,発熱などに対する対症療法が中心となる。軽症例ではアスピリン,または他の非ステロイド系消炎鎮痛剤を投与する。中等症以上では副腎皮質ステロイド剤として,プレドニンを1日30mgの投与より開始し,症状の軽減とともに漸減し中止する。

【薬剤】副腎皮質ステロイド剤:プレドニン。副腎皮質ステロイド剤の重篤な副作用としては糖尿病,消化器潰瘍,感染誘発,骨折などがある。相互作用として,バルビツール酸誘導体,フェニトインにより本剤の作用が減弱する。サリチル酸剤,抗凝固剤,経口糖尿病剤の作用を減弱することがある。

主要疾患・治療と薬剤ハンドブック(薬事新報社刊)より