あきゅうせいこうかせいぜんのうえん

BACK

亜急性硬化性全脳炎

Subacute sclerosing panencephalitis(SSPE)

主として小児に発症する重篤な亜急性脳炎で,麻疹ウイルス変異株による持続感染症である。麻疹ウイルスはNP,L,P,H,F,Mの6種の蛋白で構成されているが,分離されたSSPEウイルスはM蛋白が欠損している株が多い。

知能低下,性格の変化,言語障害などで初発し,進行するとミオクローヌス発作(律動的な不随意運動)が生じる。末期には昏睡,小脳硬直状態に陥り,1〜3年の経過で死亡する。SSPEは通常,4〜12歳の小児に好発し,その大部分は1歳未満で麻疹に罹患している。発生頻度は麻疹罹患患者100万人あたり約16.1人と推計されていたが,近年は高度弱毒化麻疹ワクチンの普及で,発生率が激減している。また,薬物治療により生存率の上昇がみられている。

血液・髄液の麻疹ウイルスの抗体価は,M蛋白に対する抗体が検出されにくいのと対称的に,他のウイルス構成蛋白の抗体価は異常に上昇する。さらに髄液ではIgGの著明な増加が認められる。頭部CTで大脳萎縮,脳幹部・小脳の萎縮が観察される。

【治療】現在のところ,進行を止める治療法はない。抗ウイルス薬のイノシンプラノベクスがある程度有効とされる。インターフェロン-αの筋注,髄液内投与も試みられている。

麻疹ワクチンを接種して麻疹感染を予防することが重要である。

【薬剤】イノシンプラノベクス:イソプリノシン。1日50〜100mg/kg,3〜4回分服。抗体産生を増強,高濃度でSSPEウイルスの増強を抑制する。イノシンから尿酸に代謝されるので,血中および尿中の尿酸値の上昇がみられることがある。その他,白血球減少,赤血球,血小板の増加,間質性肺炎などの副作用が現われることもある。

主要疾患・治療と薬剤ハンドブック(薬事新報社刊)より